クールなオオカミの過剰な溺愛
「ぜんっぜん参考にできませんね!」
「じゃあ参考にしなくていいよ」
それだけ言って前を向かれてしまう。
まったく、水瀬くんに聞くんじゃなかった。
本当に余計なひと言が多いのだから。
どうしよう、どうしよう。
考える時間だけが過ぎていき、ホームルームが終わってしまう。
「……千紗、帰るぞ」
「んー……」
せめて女子が行きたいような場所を選択したかったのだが、まったく思いつかない。
「別に焦って決める必要ねぇだろ。
まだ夏休みまで時間あるんだし」
「そうだけど…あっ、ラーメン食べたい」
「はぁ…本当に自由なやつだな、それは今食べたいやつだろ」
パッと思いついた場所はラーメン屋さん。
定期的に食べたくなるものだ。