クールなオオカミの過剰な溺愛
けれど煌哉はそれ以上責めることなく、私の体を起こしてくれた。
まるで老後の生活だ。
こんな風に私の世話をしてくれる煌哉。
とはいえ煌哉にお世話になるのは朝だけである。
高校生になり電車通学になった私は、中学の時よりさらに早起きをする羽目になった。
お父さんもお母さんも仕事で朝が早く、私が起きる頃にはすでに家を出ている日もあるためふたりに頼ることはできない。
その結果、朝はこうして煌哉を頼る私が完成してしまった。
「いつもごめんね、千紗の世話を頼んで」
「千紗を起こすのは習慣なんで気にしないでください」
「煌哉くんは優しいわね…本当にあんた、煌哉くんと出会って良かったわね」
「んー」
重たい瞼をこすりながらリビングへと向かった私。
お父さんはすでに家を出たようでいない。
お母さんもスーツに着替えており、そろそろ出るようだ。