太陽と月
「よっ陽介…」私は陽介の顔が見れず俯いた。
涙で顔がグチャグチャだ。
「椿、大丈夫だから。家に帰ろ。残念だけどアイスはまた今度な。」そう体を起こす。
それでも泣き止まない私の頭をポンポンと叩き
「椿、下向くな。上みろ。月が…綺麗だ」そう言った。
私はその声に導かれ、夜空を見上げた。
そこには、雲一つなく月が綺麗に見えていた。
「…本当だ…」そう呟くと陽介は立ち上がり私に手を差し伸べる。
「帰ろ。椿」陽介の顔は腫れあがり口元は血で汚れていた。
着ていた服も血や土で汚れていた。
「やっば、この服マリ子さんに怒られるな」そう笑った。
何で笑っていられるの?
そんなに怪我しているのに。
私は差し出された手を握り返す事が出来なかった。
陽介が好き勝手されているのに、泣く事しか出来ない自分が嫌いだ。
助けを呼びに行く事が出来た筈なのに。
私は恐怖で何も出来なかった。
「椿、帰ろ」もう一度そう言って私の手を掴んだ。
君はいつだって、私の手を取り引っ張ってくれたね--------。