太陽と月
1つ1つの言葉にきちんと答えてくれる。
私はそれが嬉しくて、目を瞑った。このまま眠りたい。颯介の腕に抱かれて眠りたい、そう思った時


「ただいま-!!」


玄関の方で、陽介の声が聞こえた。


私は慌てて涙を拭い、颯介から離れベットから降りる。


そんな私の手を颯介は掴んだ。


「陽介にばれたくない?知られたくない?」そう聞く颯介の目には悲しさが滲んでいる気がした。


私は心底、自分が嫌いだと思った。


自分から望んでおいて、陽介には知られたくない。


汚らわしくて、自分の幸せしか考えていない事を知られたくない。


黙る私に颯介は、窓を見ると


「椿、月が消えたね。僕らの秘密の時間も終わりだ」と呟いた。


颯介が見る、窓を見るとさっきまで、微かに見えていた月は完全に暗闇の中に消えていた。
「颯介・・・」そう名前を呼んだけど颯介は私の方を見る事なくベットから降りると近くにあったTシャツに腕を通した。


「椿・・・美月ちゃん幸せになれると思う?」


思ってもいなかった言葉に戸惑ってしまう。私の返事を待たず、言葉を続ける。


「椿の、大切な友達の美月ちゃんが幸せになれるといいね。もし・・・美月ちゃんが傷つく様な事があれば、その時は・・・・・」











“一緒に逆襲しようか”そう言って振り向いた颯介の笑顔は目が笑っていなかった。


私が何かを言おとした時、階段を上がってくる音がした。


「早く部屋に戻りな」


そう言って私の背中を押す。背中を押された私は、ドアを開け出て行こうとしたけど
もう1度颯介に駆け寄り、軽く唇に口づけをした。


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