太陽と月
無我夢中で颯介に抱き着く形で、応じる。


颯介は私の物だ。私がずっと隣にいる、離れないと決めたんだ。


2人で、儚くて醜い約束を交わした。誰にも邪魔されたくない。


その思いが頭の中を駆け巡る。


何度も口づけを交わしていると、颯介の唇が離れていった。


そして私の頬に触れると


「泣いてるの?」と涙を拭ってくれる。


いつのまにか私は泣いていた。自分でも分からないうちに頬は涙で濡れている。


「・・・」何も言えず黙っている私の涙を拭いながら


「僕が怖い?それとも汚らわしい自分が怖い?」


そう聞かれた。”汚らわしい”その言葉がぴったりだと思った。


「私・・・可笑しいよね・・・。颯介は家族なのに。こんな事して。でも・・・ずっとこうしたいと思っていた」


下を向く私の顎をグッと持ち上げ、颯介は微笑み


「汚らわしいしくて、自分の幸せしか考えていない椿を僕は、愛おしく思うよ」と言ってくれた。


いつだって颯介は私を受け止めてくれる。


どんな私だって受け止めてくれる。


私は、颯介の肩にもたれ掛け今日の出来事を話した。


「あのね・・・美月がね、私に”嫉妬”をするの」


「僕だって他の誰かと椿がキスをしたら嫉妬するよ」


「あのね・・・美月が私の事を”邪魔”って言ってる気がしたの」


「僕には椿が必要だよ」


「あのね・・・私は1人ぼっちなの」


「椿には僕がいるよ」

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