太陽と月
『俺がお前を何度でも奈落の底から連れ出してやる』
そう言ってまた太陽みたいな笑顔で君は微笑んだ。
陽介は言葉通り、私の事を何度も助けてくれた。
道を間違えそうになる度に、正しい道を教えてくれた。
『あっ・・ありがとう。本当は・・・本当は・・・
ママに会いたい・・・』
泣かないって決めていたのに、強くなるって決めたのに。
陽介の前で泣いてしまった。
そんな私の頭を撫でてくれた。
まるで本当のお兄ちゃんみたいだと思った。
『ねぇ、椿約束しようよ』
『約束?』
『うん。大人になったらさ、椿の母さんを探しに行こうよ!』
『探しに・・・行くの?』
そう首をかしげる私に陽介はイタズラっ子みたいな表情で
『うん!それまでに迎えに来てくれたら幸せだけど、こっちから探してやろうよ!ママを驚かせるんだ!』
とヘヘっと笑う、陽介が輝いてみえた。
“大人になったらさ、椿の母さんを探しに行こうよ”
12歳の誕生日に私は2つ目の約束をした。
私は、その約束を守れたのかな・・・??