太陽と月
 どうして?何で?いい子にしてたのに。

そんな事ばかり頭の中をグルグルと思っていた。

すると男が再び私の首元のマリア様のネックレスを触れた。

『いいか。お前は親に捨てられた。じゃあお前はこれからどうする?このマリア様とやらにお祈りするのか?』

これから?

どうする?

私はママが迎えに来ると信じていた。

だから…

『そんなの…。分かんないよ。』

俯く私に男は凜とした腹に響く声で

『お前も親を捨てろ。名前も、今までの事も。何もかもだ。自分の道は自分で切り開け。


ピンっとマリア様のネックレスを男は弾いた。

捨てる?


ママを?


名前を?


『私がママを捨てるの?』

恐る恐る聞くと

『あぁ。お前も捨てるんだ。そして誰よりも美しく、強くなれ。』

男が私の頭を撫でた。

不思議と悪い気はしなかった。

『お前の名前は今日から、西園 椿だ。』

そう言って男は微笑んだ。

”西園椿“

今日から私の新しい名前。

『白い椿の花言葉は、“誇り”と“完全なる美しさ”だ。どんな事があっても美しくあれ。惨めな思いをしても、裏切りにあっても美しくいろ。そんな自分に誇りを持って生きろ。』

まだ幼い私には男が言ってる意味は理解出来なかった。





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