太陽と月

「お前そんな事言うなよなー!俺は初めの文面読んでる椿も格好よかった思ったよ。」私を見てニコリと笑ってくれた。


颯介は変わらず冷たい目をしたまま


「…仮面が剥がれ落ちなければいいね。」それだけ言うと振り向く事なく私達から遠ざかっていった。


「何だよ、あいつ。何言ってるのか分からないわ。ごめんなー椿?」そう言って私の顔を覗き込む。


私には意味は分かった。
颯介はいつも私の痛いところを突いてくる。


颯介が言う事はいつも正しかった。
例えそれが、人を傷つける様な言葉であっても…。人を恨みたくなる様な言葉であっても。



その後は2人で本屋さんに寄ってから家に帰った。


玄関の扉を開けると、また2人が立っていた。


河口さんと天宮さんだ。


陽介と顔を見合わせて、時計をチラっと見た。


時計は16:07をさしていた。


2人で同時に声を出す。


「「遅れてごめんなさい!」」


今日は陽介が家庭教師で私が武道の日だったのだ。
< 70 / 230 >

この作品をシェア

pagetop