大人の女に手を出さないで下さい
「あと一年の事だろう。英梨紗もママとの生活を楽しむといい。蒼士くんには美人二人と住んで変な気を起こされたら困るからな」

「変な気なんて起きないよ?ママと蒼士くんってすっごいラブラブなんだよ?あたしの前でも手繋いだりキスしたりは当たり前。あたしにもチュッてしてくるんだから」

「ほう…それは聞き捨てならないな」

ピキッと額に青筋を浮かせた英隆にさすがに英梨紗もまずいと思ったのか言い訳してくる。

「たっ!ただの親子の愛情表現だよ?おでこにだし!あたしの事も娘として見るからってママと一緒に抱きしめてくれたりしてるだけで…」

実際、蒼士は梨香子同様愛情表現が豊かなようで外人宜しくハグやキスをしてくる。それは厭らしいものじゃなくてほんとの親のような振る舞いで英梨紗も嫌がることなく受け入れている。
だけどふーん、と頷く割には黒いオーラをまとった英隆は怖くて英梨紗はそれ以上言えなくなった。

「これは少し蒼士くんに釘を刺しておかなくてはいけないな。英梨紗に手を出したらどうなるか身を持って体感してもらおう」

「だから~!違うって~!」

蒼士くんごめ~ん!と英梨紗は泣きそうに懇願するも英隆の黒い笑みになすすべ無しだった。
蒼士がそんなことをするとはさすがに英隆も思わないが梨香子を泣かすことは許さない、と思って、ふと、自分がそんなこと言えた立場じゃないなと自嘲した。
急に黒いオーラが消えて笑う英隆に英梨紗は首を傾げた。

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