大人の女に手を出さないで下さい
「リカちゃん!?」
「店長!?」

何言い出すんだと二人に咎められても梨香子はニコリと笑いかけ二人は黙る。

「でも、蒼士くんは心から私の事を愛してくれるから、私も素直になろうと思ったの」

涙目でギロリと睨まれ苦笑いを零した梨香子は更に続ける。

「だから例え私から別れたとしても蒼士くんはあなたに振り向くとは思えないわ」

「どうしてそんなこと言えるんですか」

「蒼士くんの心は変わらないと信じてるから。あなたは蒼士くんの心が欲しいのでしょう?私から彼を奪いたいなら彼の心を奪いなさい」

「……私が奪ってもいいんですか?」

「受けて立つわよ?負ける気はしないけど」

にっこり余裕の笑みを向けられ彼女は真っ赤な顔でわなわなと震えだした。

「私が蒼士さんの目を覚まさせてあげます!あなたみたいなおばさんより絶対に私の方が蒼士さんに相応しい!」

ははっ…威勢のいいこと…と梨香子はやはり苦笑い。
反論するつもりも無かったのにトミちゃんがスッと前に出た。

「若いだけが取り柄のお嬢ちゃん。蒼士くんの愛の大きさを知らないんでしょう。どんなにリカちゃんが断っても蒼士くんはめげなかったんだから!断言するわ!あんたはリカちゃんには絶対叶わない!」

トミちゃんの喋り方と気圧に押されて彼女は引きつりながら後退りした。
悔しそうに唇を噛み梨香子を睨むと踵を返して何も言わず立ち去ろうとする。
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