大人の女に手を出さないで下さい
「そこは、弁護士である俺が間に入って話をつけてやろう」

英隆が静かにその話に割って入ってきたが弁護士を立てるなんて大事にはしたくない。
川浦の言動は悪質とまではいかないし、何より梨香子がそれを望まないだろう。

「いや、弁護士が間に入るほどのことではないだろう」

「そう言えるのか?もしその彼女が度を超えて店に嫌がらせをしてきたら?梨香子に危害を加えるかもしれないぞ?」

「まさか、そこまで…」

「何事も最悪の事態を想定して行動した方がいい。軽く考えてるから相手の好意も気付かず君が呑気にしてる間に知らない所で梨香子は傷つく羽目になる。俺の二の舞になるぞ?」

自嘲気味に笑う英隆に蒼士は笑えないよ、と顔を引つらせた。

「まあ、梨香子に何かあったら俺も黙っちゃいない事だけ覚えておいてくれ。困ったらいつでも相談に乗る」

「あたしだっているんだからね!いつでも手を貸すわよ!」

トミちゃんは英隆に対抗意識があるのか食ってかかるように蒼士に訴えた。
押され気味の蒼士は勢いに飲まれるように頷く。

「あ、ああ、助かるよ。手を借りることなく済ませたいけど」

また川浦に会うのかと思うと憂鬱で少し途方にくれながらも梨香子を守るためだと自分に言い聞かせた。

でも、トミちゃんの話によると梨香子も負けてはいなく川浦に言い返していたようで「蒼士くんの心は変わらないと信じてる」と言ってくれてた事は嬉しかった。
それに「受けて立つわ」なんて、かっこいいこと言ってくれると感心してしまった。
もちろんその通りで梨香子への愛は変わらない。川浦が束になってかかってきても梨香子には到底敵わないのだ。
そんな事を思い浮かべて蒼士はほくそ笑むのだった。

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