大人の女に手を出さないで下さい
「ふわあ~出来たあ」
梨香子はつい、気の抜けた声が出てしまった。
二人がかりで作り上げたアイアンの飾り棚。
木の天板も厚みがあり重厚感があってサイドの曲線が美しいアイアンがアンティークっぽさを醸し出している。
「こんなに重いの一人でなんて出来なかっただろ?」
「う、確かに…」
棚の組み立てなんてお手の物だったけども、これは一つひとつが重くて梨香子一人ではこんなに早く出来なかったと思う。
そこはやはり男性である蒼士の手助けは助かった。
意外と力持ちで軽々と出来上がった棚を設置してくれた。
「ありがとう。やっぱり男の子の力は強いね」
「む…男の子って、子どもみたいな言い方やめてくれる?」
額の汗をぬぐった蒼士がちょっと拗ねたような顔をして抗議してきた。
その顔がちょっと少年ぽくて可愛い。
「ふふ、男の子には変わりないじゃない」
後片付けをしながら笑ってるとぐいっとその端正な顔が迫ってきた。
「俺、これでも32の立派な男なんだけど?」
「あ…ああ、そうなの?もう少し若いと思ってた…」
初めて彼の歳を聞いた。
初めの頃に結婚もしてなければ彼女もいないと聞いていてなんてもったいないと思っていたけど、いい年なのに彼女もいないなんて、やっぱりもったいない。
彼なら引く手数多だろうに、それとも選びきれなくてその年になったとか?
そんなことを思いながら梨香子は蒼士を見つめていると、照れたように頬を赤くして蒼士が目を逸らした。
「もう少し、男として意識してくれると有難いんだけど…」
「え?今なんて?」
口元を手で覆い、もそもそと話す蒼士の声が聞こえなくて梨香子が聞き返すと蒼士は何でもないと首を振った。