大人の女に手を出さないで下さい
「いいなあ、梨香子さんがうちにいるなんて…」

そう言いながら蒼士は耳を甘噛みし首筋にキスをしてくる。
こうなると蒼士は話を聞いてくれない。
くすぐったくて肩を竦めてもう!と逃げようとしたけど簡単に抑え込まれてしまう。
くるっと回転させられた時には唇を塞がれ甘い舌が入り込んできた。

「あ…ん、蒼士く…」

「少し黙って…」

「だめ…旅行の支度…しないと…」

「後でいいよ…」

熱くなる抱擁に濃厚なキス。
どんどん甘くなる空気に梨香子も呑み込まれそうになる。
けど、このまま…とはまだいかない。

「う…こら、支度出来るのは今日しかないんでしょ?早くやってしまわないと旅行いけなくなるわよ?せっかく手伝いに来たのに」

なんとかぐいっと蒼士を押し戻してちょっと怒った素振りを見せると蒼士はやっと諦めたように抱きしめる力を緩めた。

「わかったよ、お預けはなれてるからな」

「もう…そんな言い方しないの」

苦笑いの蒼士に梨香子はため息を零す。
梨香子だってもうお預けをするつもりもない。
今日こそは、と気合を入れてお肌のお手入れもしてきたし下着も新調してきた。
お腹の弛みは仕方がないので目を瞑ってもらおう。
旅行の為に前倒しで仕事をしてると言う忙しい思いをしてる蒼士を労ってもあげたい。
それよりもまず旅行の用意だ。
男の人はあまり用意するものなんてないだろうけど早く終わらせて二人の時間を満喫したい。
幸い英梨紗は琢真とデートでその後は母娘共々仲良しの友達の家に泊まるから時間を気にしなくてもいい。
今はまだ夕方の5時。
冬空の外は真っ暗だけど時間はたっぷりあるのだ。
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