大人の女に手を出さないで下さい
梨香子が何やら盛り上がってる集団に目を留め気になって近づいてみた。
見ればそれは高級そうなショーケースの前で他のツアー客がほうっとため息を漏らしている。
何があるんだろう、と梨香子もショーケースを覗いて同じようにため息を漏らした。

「すごい、素敵…」

「アンティークジュエリーか」

梨香子の後ろから蒼士も覗きこみ色とりどりの宝石がちりばめられたジュエリーを目にして目を細める。

「ここにあるのは1900年代前後のビクトリアン、エドワーディアンと言われる宝飾の最盛期に作られたジュエリーです。ほとんどが一つひとつ手作りされたオーダーメイド品で物によっては博物館にあってもおかしくない至宝の逸品だったりするんです」

「まあすごい。すごく繊細で洗練されてていつまでも見ていたい…」

いつの間にか横にいた元倉の説明に感嘆しながらも梨香子の目はジュエリーに釘付け。
買い付けて店で売ろうかとも思ったけどもさすがにお値段は相当なもので手が出せない。ついまたほうっとため息を漏らした。
蒼士は近付いてきた元倉をけん制するために梨香子の腰を抱き元倉を睨む。
元倉も負けじと睨み返し梨香子の後ろで火花を散らしていた。
< 216 / 278 >

この作品をシェア

pagetop