大人の女に手を出さないで下さい
翌日、
イギリスと言えば紅茶、ということで紅茶の専門店に見学と買い付けをした。
紅茶の良い香りと素敵な茶器が並んでいるフロアで梨香子はご機嫌。

「このティーカップ可愛い!どう?蒼士くん」

「…いいんじゃない」

ご機嫌な梨香子と打って変わって蒼士は昨日のお預けが尾を引いてテンションが低い。
その上今朝は蒼士が目覚める前に梨香子は起きていて既に準備万端だった。
起き抜けに襲うことも出来ずお預けばかりで蒼士はご機嫌斜めいつまでもふてくされている。

だからと言って梨香子に冷たい態度をとるわけでもなく相変わらずついて回る。
そんな蒼士を可愛いなと苦笑いで見ている梨香子も昨日は悪かったと反省してる。
疲れが出たのか眠気には勝てなかった。
なんとか機嫌を直して欲しくて話しかけたり手を握ったり上目遣いで見つめて蒼士の様子を窺うのだった。

そんな梨香子にこっそりほくそ笑む蒼士。
わざと拗ねてみると意外と梨香子は優しくてこの手は使えるなと一人にやけていた。
そこにタイミング良く奥野が見ていて見透かしたように鼻で笑われゴホンと咳払いで誤魔化した。

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