大人の女に手を出さないで下さい
午後からユーロスターに乗りフランスに渡った。
今日はホテルに直行しゆっくりと寛ぐ予定。
パリからほど近い森に囲まれたシャトー ホテル は驚くほど豪華でラグジュアリーな空間に誰もが感嘆のため息を洩らした

「すごく素敵なホテル!ねえ蒼士くん」

「…うん」

ロビーも息を呑むほど素晴らしかったが各部屋に入るとそこもまるでお城の一室のように豪華でまるで違う時代にタイムスリップしたよう。
重厚感のある家具や天蓋付きベットに感激しつつ、暫しゆっくり過ごした後、今日は晩餐会が模様されるため軽い正装に着替えをした。
パウダールームで着替えた梨香子が出てきて蒼士は息を呑んだ。

「少し張り切り過ぎたかしら」

「梨香子さん…凄く素敵だよ」

梨香子はダークブルーのミモレ丈のワンピース。
襟ぐりがV字に大きく開いていて袖は透け感のあるレース。
大人の色気まで漂ってきそうな姿に目が眩みそうだった。

「蒼士くんも素敵よ」

梨香子も眩しそうに目を細め蒼士を見つめた。
少し光沢のあるジャケットに遊び心のある花柄のネクタイは畏まり過ぎずカジュアル過ぎず絶妙なバランスで蒼士だからこそ似合うと思う。
スーツ姿は見慣れてるはずなのに頬が高揚するのを感じた。

「あ、そうだ。梨香子さんにこれを」

我に帰った蒼士がテーブルに置いてあった小箱を手に取り蓋を開けて梨香子に見せた。

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