大人の女に手を出さないで下さい

「蒼士くん」

「あ、ごめん。起こした?」

ううんと首を振る梨香子。
こっそりとベッドに潜り込むと梨香子に話しかけられ、蒼士はバツが悪そうにさっきのこともあるので遠慮がちに梨香子の横に寝転んだ。
謝ろうとして口を開きかけたとき先に謝ったのは梨香子だった。

「さっきはごめんね、蒼士くん」

「え?いや、俺の方こそ梨香子さん疲れてるのにむりやりして悪かったよ。ごめん」

「ううん、蒼士くんの気持ちを受け止めなきゃいけないのに拒否した私が悪いんだよ。今まで散々待たせたわけだし。あの…それで、痛くなかった?」

何を指してるのか思い出して蒼士は思わずもぞもぞする。

「いや!それは全然!大丈夫だから。全部受け止めなくてもいいよ、梨香子さんも疲れるだろ?」

「でも、そんなこと言ったら蒼士くん他所に行っちゃうでしょ?」

「え?何でそうなる…」

あんまり相手をしないとその内飽きられて浮気とかされて、いずれ本気で好きな人が現れて結局梨香子は蒼士に捨てられるかも…!
と、蒼士を待ってる間に悶々と考えていて眠たいのに眠れなくなっていた。
蒼士を信じているのにまた不安に駆られてしまった梨香子はその不安を蒼士にぶつけた。

それを聞いて蒼士は嬉しそうに微笑んだ。
不安になるほど自分のことを想ってくれてる。自分もそうだ、不安になるほど梨香子を愛してる。

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