大人の女に手を出さないで下さい

いつの間にかゴールデンウィークも過ぎ季節は梅雨に入った。

蒼士は会社の副社長室で梅雨の合間の晴れやかな空を眺め頬杖を着いていた。
仕事の考え事をしてるような素振りだが頭の中は梨香子のことでいっぱいだ。

梨香子との付き合いは順調そのもの。
しかしお互い忙しくなかなかゆっくり会えないのが悩みだ。
早く結婚して一緒に住んだらそんな悩みも解消するのにとつい愚痴がこぼれそうになってハッとなる。
結婚するまでは一緒に住まないと二人で決めたのだから愚痴は溢すまい。

だから合うたび身体を求めてしまうのは許して欲しいと思う。これでも自制はしてるのだ。
梨香子はそんな蒼士を受け入れてくれてる。
いやいやだったらイヤだなとふと思うが、いや、そんなことは無いと首を振った。
「優しくしてね」なんて言われると余計に煽ってるの分かってる?と言いたくなるほど梨香子は魅力的で自制するのも苦労する。
そのせいと思いたくないがここのところ梨香子は腰痛を発症したらしく、ヨーロッパ買付ツアーに行った後、一緒にジムに通うという約束は数回で中断してる。

ゴールデウィーク、蒼士は休み無しで会うのもままならなかった。
勿論客商売は当然休みなんて取れないから梨香子も働き詰め。腰は大丈夫かと心配になる。
今度休みを合わせて腰痛にいい温泉に連れて行ったら喜ぶかなと梨香子の笑顔を思い浮かべた。
英梨紗も一緒だと喜ぶだろう。
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