大人の女に手を出さないで下さい
「・・・・」
置き去りにされて梨香子は呆然。ちらりと横を見れば端正な顔が深刻そうに俯いている。
さっき蒼士に怒鳴られて少し気まずい。
蒼士も黙り込んでしまったから怒ってるのかとおずおずと向き直った。
「蒼士くん、さっきはごめんね?変な誤解しちゃって。ほら、トミちゃんって人たらしだから。男女分け隔てなく好きみたいだし…」
「あ、いや…俺も怒鳴ってごめん…誤解されたくなかったから」
「ううん、私が悪いから蒼士くんが謝らなくてもいいよ」
蒼士が怒ってないと分かって梨香子はホッとした。
けど、蒼士と目が合うとふいっと逸らされてその視線の先を辿ると七色に光る噴水が今一番高い位置で光り輝いている。
「綺麗ね」
「え?」
「噴水」
微笑ましく噴水を見ている梨香子の横顔を見て胸は高まり梨香子の方が綺麗だとつい言いそうになる。
ベタにも程があるセリフを口にしようとした自分が滑稽で蒼士は小さく笑った。
「やっぱり好きだな…」
「え?」
こちらを向いた梨香子に蒼士は覚悟を決めて背筋を伸ばして梨香子を見据えた。
「梨香子さん、俺、梨香子さんのことが好きです」
「…え?今なんて?」
虚を突かれたような顔をする梨香子に、あんなにアピールしてたのにほんとに気づいてなかったんだなと思うと苦笑いが溢れる。
「なんでびっくりしてるんですか?あんなにわかりやすくアピールしてたのに」
少しくらいわかってくれてもいいでしょう、と蒼士は拗ねてみた。