大人の女に手を出さないで下さい
「蒼士、女性を待たせてはいけないよ。ほら、君たちは来たばかりだろう?早く席に座りなさい」
敏明は蒼士の隣に立った彼女が暗い顔をしたのを察知して蒼士を窘める。
言い訳しようにもここでは憚られるのは蒼士も分かっている。
梨香子を見つめグッと堪えた蒼士はわかったよ、と彼女を促し離れて行った。
「いやいや、偶然とは恐ろしいものですね。蒼士のデート現場に居合わすとは」
「そうですね…」
蒼士が否定したにもかかわらず敏明は蒼士がデートで来たと疑わず、梨香子もそうだと決めつけた。
お互い他の異性とデートOKと梨香子が言ったのに胸にはモヤモヤしたものがこみ上げる。
そんな梨香子を伺うように敏明は呟いた。
「国永さんがいたからやる気になったと思ってたんだが私の思い違いかな?」
「そ、そうですよ!きっと彼女ですよ。やる気にさせたの」
引きつった笑顔で取り繕う梨香子を見定めるように敏明はそうですかねえ…と顎に手をやり考えていた。