大人の女に手を出さないで下さい
テナントに入るにあたり、その時初めて三雲オーナーに会った。
英隆とは違う大人の魅力溢れる彼に梨香子は心底憧れる。

それから、店の準備に明け暮れやっとの思いでオープンまでこじ付け半年が経ったころ。
梨香子は英隆に離婚を申し出た。
忙しい中でも少しづつ離婚の準備をしていた梨香子に気付いていた英隆はそれを了承した。
その代り、と弁護士宜しくたいそうな契約書を作ってきた。
離婚の条件として、財産は均等に分ける事。英梨紗の親権は梨香子が持つこと。定期的に英梨紗と英隆を会わせる事。英梨紗が学生生活を終えるまで英隆が養育費を払うこと。英梨紗に何かあった時は必ず英隆に報告すること。
と、離婚してしまっては英梨紗しかつながりが無くなってしまう英隆の思惑の詰まったものになっていた。

梨香子としては軌道に乗って来たものの店の収入だけで英梨紗を養育できる自信は無かったから財産分与と養育費は願ってもない事で文句なくその契約書にサインした。
世の中養育費も払わないで逃げ続ける人もいるというのだからその点に関してはきちんと払い続けてくれる英隆に梨香子は感謝している。

そして、離婚して、心が解放されて、梨香子は生き生きと店と育児に明け暮れ現在に至る。

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