賽の河原で鬼さんこちら
少女はにへらと笑うと、高々と積み上げた石の塔を蹴りつけた。

がらがらと、石が落ちていく。

何度も何度も蹴りつけ、石を投げつけ、塔を崩していく。

大鬼の見ている前で、塔はがらがらと崩れていった。


「お、おい」


大鬼はどうしていいのか分からず、ただその様を眺めている他なかった。

がしゃん、がしゃん。

派手な音を立てながら、塔は見る見るその姿を小さくしていく。


「崩れちゃった」


最後の一段までも崩し切ってしまいながら、少女が言った。
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