賽の河原で鬼さんこちら
元いた場所には子どもが一人もいなくなっていた。

皆極楽へと渡ったようだった。


「みんないなくなっちゃったね」


少女が呟く。


「そうだな」


大鬼が言葉を返す。


「一重積んでは父の為」


少女が歌いながら、完成していた塔を一つ崩した。


「二重積んでは母の為」


大鬼も歌を口ずさみながら、少女に続いた。
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