このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~

さすが、律さん。

脳内でお徳用チョコが、ショコラティエのチョコレートに昇華されている。どれだけ私を甘やかすつもりなんだ。

その時。律さんが、トンと杯を置いた。

ふっ、とこちらを見つめた切れ長の瞳があまりにも綺麗で手が止まる。穏やかなようで、隠しきれない熱を宿した瞳が私を映した。


「…俺はまだ、百合のことをあまり知らないのかもしれないな。初めて会った時から今まで、いつも新しいお前を知る。」

「…!」

「百合に会って自分がどんどん変わっていくが、それも嫌じゃない。こんなに誰かを愛しいと思うのも初めてだ。…だから今、ちゃんと百合に伝えておきたいことがある。」

(え…?)


すっ、と隣から立ち上がり、鞄から何かを取り出す彼。

表情一つ変えずに戻ってきた彼の手にあった“それ”は、小さな白い箱だった。蓋を開けて顔を出したのは、銀色の指輪。小さなダイヤが光るリングに言葉が出ない。

思わず彼を見上げた私に、律さんは極上の甘い声で愛を囁いた。


「ーー百合と家族になりたい。これからのお前の生きる時間を、ずっと隣で過ごしたい。」

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