このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
「榛名さんは、本当になんでも出来るのねえ…!お料理も美味しかったわ、今日はありがとう。」
ほわほわとしたマイナスイオンを飛ばして微笑むおばあちゃん。
目元を和らげた榛名さんは、穏やかに答える。
「いえいえ。こちらこそお招きいただきありがとうございます。そういえば、先ほど言っていた敬老会のゲートボール大会はいつなんです?」
「今度の日曜なの。榛名さんもどうかしら?」
「ははっ、俺でよければ、ぜひ。」
(知らない間に仲良くなってる…)
着々と私の家族と交流を深める彼。
談笑するおばあちゃんも、私がやっと男の人を家に連れてきたのが嬉しいらしい。この人とは、そういう関係ではないというのに。
「そうだ、紘太くん。君に“コレ”を。」
「?」
まだぎこちなく、緊張したようにソファに座ってこちらを伺っていた紘太。そんな弟にスタスタと歩み寄り、榛名さんは小さな白い箱を手渡す。
丁寧に包装を解くと、中から現れたのは“ブルーベリーの乗ったレアチーズケーキ”。途端に、紘太は目を輝かせた。
「え!もしかしてコレって、駅前に新しく出来た高級ケーキ屋の限定品ですか?!」
「あぁ。紘太くんがケーキ屋でもバイトをしていると百合から聞いていたからな。甘いものが好きなのかと思って買ってきたんだ。」
「っ、大好きです!ありがとうございます!!…わー…!食べるのもったいないです…!めっちゃ嬉しい……」