このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
唐突に投げかけられた救助要請。
一瞬思考が停止する。
「ど、どうしたんです?まさか、料理中に火事になったとか?いつもの天然ボケで何かの犯罪に巻き込まれたんですか?」
『お前は俺を何だと思ってるんだ。…悪いが、詳しく説明している時間がない。とりあえず、百合の家に日笠を向かわせる。すぐに来てくれ。』
「“来てくれ”?」
『あぁ。ドレスの準備は俺の方でしておく。頼んだぞ。』
「“ドレス”?!あっ、ちょっ、榛名さ……」
ーーブツ。
スピーカー越しに聞こえる電子音。途切れた電話の向こうから返事はない。
相変わらず強引な御曹司だ。珍しく余裕がなく焦っていたようだが、私は彼の心配よりも言い残されたセリフに動揺していた。
(“ドレス”?一体どういうこと?っていうか、あの人私のアパートまで知ってるの?)
ーーピンポーン。
部屋に響くチャイムの音。まさか、と思いつつ玄関に走る。すると、扉を開けた先にいたのは、副社長付きの敏腕美人秘書だった。
「お久しぶりです、奥さま。お迎えに上がりました。」