このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~

無言で黙り込む彼。それは“肯定”を表していた。

まさか、“こういうこと”だったなんて。

助けてくれ、だなんて言うものだからある程度構えてはいたが、コレは私の対応できるキャパを遥かに超えている。セレブの社交界なんて遠い昔の記憶だ。貧乏人に染まった私が、彼の隣を堂々と歩けるわけがない。

ロクな説明もなく巻き込まれることになった私のドス黒い視線に、榛名さんは目を泳がせる。


「急に呼び出したのは悪かった。でもな、百合がいるのに他の女性の相手をするわけにはいかないだろう。表立った挨拶の場はないが、俺の関係者が一同に集まるこの機会に百合の存在を見せつけるのが、一番手っ取り早いと思ってな。」

「私の気持ちはガン無視ですか!この前まで、“余裕がないのは見苦しいな、返事はまだいい”とか言ってたのに…」

「あぁ。今すぐ俺を好きにならなくてもいい。だが、俺が百合にしか興味がないのはこの先も変わらないんだ。なら、早いうちに手を打っといたほうがいいだろう。」

(何なの、そのベタ甘理論は?!)

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