守りたいから隣にいろ〜幸せな命令〜
冷たいその目で睨みつけられ、秋葉は体を震わせる。私のことを何も知らないくせに!!と怒鳴り散らしたかった。

「自分の感情をきちんと話せ。伝えろ。言うことが怖いと言うのならば、もう何も考えるな」

秋葉は今、自分がどんな顔でフランツの言葉を聞いているのかわからなかった。ただ胸の中にあるのは、悲しみと大きな怒りだった。

「フランツ、やめなさいよ!」

図書室にいたクラスメートが立ち上がって助けてくれた。秋葉はホッとし、フランツは冷たい目をクラスメートに向ける。

「秋葉、あの男の言うことなんか気にする必要ないわ。あなたは優しいいい子よ」

クラスメートが秋葉に微笑む。すぐに秋葉は「Danke(ありがとう)」と笑う。しかし、フランツは変わらない目で言うのだ。

「Du kannst wirklich get lugen(お前は嘘をつくのが得意だな)」

その言葉でまた秋葉は傷つき、泣き出しそうになるのを懸命に堪えた。
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