人生の続きを聖女として始めます
昼食が終わると、ここ最近はずっとレーヴェと弓の稽古をしている。
獅子王軍の弓隊の練習はいつも午前中で、午後からは練習場が空いているとロシュに聞き、その時間にすることにしたのだ。

「あ!やったぁ!当たった!!」

練習を始めて暫くすると、レーヴェが歓喜の叫びを上げた。
放った矢は、下の方ではあったけど間違いなく的に当たっている。

「すごいっ!!すごいよ、レーヴェ!!」

私はレーヴェを抱き上げるとぎゅうぎゅう抱き締めた。
うちの子、本当に天才じゃないの!?
始めたばかりなのに、もう的に当てるなんて!
将来はオリンピック選手……にはなれないけど、文武両道のイケメン王になるはずよ!!

「お母様の教え方がうまかったんですよ!ありがとうございますっ!」

なんてこと……。
私の息子は、謙遜という言葉を知っている!!
5才にして、どう言えば人が喜ぶか、不快にさせないかがわかっているなんて……やっぱり……天才!
そんな親バカ爆走中の私の思考は、ある人達の来訪により阻止された。

「殿下、ジュリ様!今日も頑張ってますね?」

開け放しの扉の脇にガブリエラが立ってこちらを見、更にその後ろにドレイクとロシュが顔を覗かせた。

「こんにちは皆さん!さっき、レーヴェが初めて的に当てたんです!ほら、見て下さい」

私は的を指差した。

「おお!レーヴェ殿下すごいじゃないか!!」

ロシュの言葉にレーヴェは真っ赤になった。
天下の将軍様に褒められたのがうれしかったのかな?
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