人生の続きを聖女として始めます
それから私とエスコルピオは、獅子王の執務室へと向かった。
道すがら、どういって尋ねたら良いかを何度もシュミレーションしてみる。

「ビクトリア妃がご懐妊だそうですけど、心当たりはありますか?」

とか、

「出来たそうですよ?本当ですか?」

とか………。

どんな風に言ってみても、聞きにくさは変わらない。
いっそのこと、ここから踵を返して帰ろうかな……なんて考えているうちに執務室前に着いてしまった。
大きく一回深呼吸。
そして、4回ほどしつこく扉を叩いた。

「………あれ?何の反応もないね?」

すると、エスコルピオが扉に耳をあて中の様子を確認する。

「音がしません。気配もなし。誰もいないようです」

「そう。仕方ないね。じゃあ、もう一人を先に訪ねてみる?」

「おすすめは出来ませんが……ジュリ様が行くというのなら、お供致します」

エスコルピオは乗り気でないのか、少し声のトーンが低い。
北館は敵の本拠地にも等しいから、嫌なのかも。
私も出来るなら会いたくはないよ?
でもこのままモヤモヤするのも嫌なのよね。

「エスコルピオ、行ってみてもいい?」

「わかりました。でも、常に回りには気を配って下さい。やつらは何かを企んでいるのかもしれない」

私に力強く注意をうながすと、エスコルピオは先に立って歩き始めた。
道案内してくれるのかな?
北館には行ったこともないし、見たこともない。
南館とは真逆にある場所で距離も一番遠いのだ。
< 136 / 238 >

この作品をシェア

pagetop