人生の続きを聖女として始めます
それから一年後、喜びと悲しみが一緒にやって来た。
サマンサは出産し、産まれた女の子はマデリンと名付けられた。
だが、その時の難産が原因でサマンサは帰らぬ人になってしまい、ラ・ロイエは悲しみに沈んだ。
毎日誰かの啜り泣く声が牢獄から聞こえている。
子爵もデュマも憔悴しきっていた。
だが、そんなラ・ロイエに再び明かりを灯したのは、サマンサの忘れ形見、マデリンだった。
彼女の笑顔はラ・ロイエの囚人達を笑顔にし、子爵やデュマの笑顔も取り戻した。
それからオレは、塔の上の特別室で、彼女の姿を思い描くのが日課になった。
髪の色は?目の色は?みんなを虜にする笑顔はどんなだろう?
部屋から出られないオレは妄想ばかりが膨らんだ。
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