嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「あ! こんにちは!」


パッと明るい表情で入って来たのは、彩月さんだった。
登場に驚く方が変だ。だって、ここは彼女の居場所なのだから。

でも、私が驚嘆したのはそこについてではなくて。


「どう? ご要望通りになってるかな⁉︎」


彼女が満面の笑みで両手に大切そうに持ち、私の方に差し出したブーケを見たからだった。

ピンクのかすみ草をメインに、白、薄紫と美しい濃淡の綿菓子みたいなブーケには、見たことのないピンク色の花が混じっている。
丸い形の花びらがとっても可愛らしい。


「あのっ、こ、これは……?」
「カラフルなかすみ草をハウス栽培してる知り合いに頼んで急遽譲ってもらったんです。ほかの種類の花との兼ね合いもあるからいろいろ試行錯誤したんだけど、この桜に似ているピンクのお花はルクリアっていって甘くていい香りがするんですよ。ブーケにぴったりかなって思って!」


彩月さんは嬉しそうに説明してくれるんだけど、私が聞きたいのはもっとほかのことだった。


「持ってみてください、一華さん。まだ試作品だけど」


どうして私にこれを……?

解明されていない疑問で頭が重い。
困惑している私に、彩月さんがじれったそうに差し出す。

すると、その攻防を真横で見ていた薫さんが補足するように言った。


「ホテルで彩月に会ってたのは、結婚式の打ち合わせに参加してもらうためだよ。一華には当日まで内緒にしておこうと思ってたんだけど、状況が変わったから先に見てもらおうと思って、ここに連れて来た」
「もし、一華さんがこのブーケのデザインを気に入ってくださったら、これでヘアパーツも作ろうかって思ってるんです」


すぐには、言葉にならなかった。

私の好きな花で、ブーケをデザインしてくれたの?
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