嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「気に入らない?」
早とちりしてばつが悪い私が顔を隠すように俯いているので、どうやら勘違いさせてしまったらしい。
いつになく不安げな薫さんの表情に、更に胸を打たれる。
「まさか、そんな……すみません」
呼吸を整えて、私は顔を上げると彩月さんと薫さんのふたりを交互に見た。
「あまりにも素敵すぎて、私にはもったいないと言うか……申し訳なくて」
最初から、中途半端な決意だった。
勝手に好きになって、自己完結して。契約を解除して、逃げて迷惑をかけて。
こんなダメなところばかりな私に、このブーケを持つ資格なんてないんじゃないかと気後れしていると。
「当然だろ?」
揺るぎない自信をみなぎらせ、薫さんは力強く言った。
「薫くんってば、パーティーでは照れちゃってなかなか私に一華さんを紹介してくれなかったよね」
次第に潤んでくる視界の中で、ブーケが滲んで見える。
「彩月は家族みたいなものなんだから、好きな子紹介するのはそりゃ照れるだろ」
ふふっと穏やかに微笑んだ彩月さんは、緊張で強く握りすぎてかじかんだ私の掌を優しくほぐすように開き、ブーケを持たせた。
「なるべくなら一華の前ではカッコつけていたいけど」
ポロポロと堰を切ったように溢れ出し、頬を伝わる涙を指先で器用にすくい、私の泣き顔を至近距離で覗き込んだ薫さんは柔らかい表情で続けた。
「形振りなんて構ってられない。絶対に、手放したくないから」
彩月さんの前で抱きすくめられ、涙が弾けるくらい私は驚いた。
私が抱いているブーケごと守るように、すっぽりと包み込むような体勢だった。
恥ずかしくて、私は薫さんの胸に顔を埋める。
生成りのシャツに涙がしみてしまうけれど、帰ったら私が洗濯しようと思った。
私たちが同じ新しい匂いがするなんて、なんだか想像するだけで体がちょっと震え上がるくらいに、嬉しかった。
早とちりしてばつが悪い私が顔を隠すように俯いているので、どうやら勘違いさせてしまったらしい。
いつになく不安げな薫さんの表情に、更に胸を打たれる。
「まさか、そんな……すみません」
呼吸を整えて、私は顔を上げると彩月さんと薫さんのふたりを交互に見た。
「あまりにも素敵すぎて、私にはもったいないと言うか……申し訳なくて」
最初から、中途半端な決意だった。
勝手に好きになって、自己完結して。契約を解除して、逃げて迷惑をかけて。
こんなダメなところばかりな私に、このブーケを持つ資格なんてないんじゃないかと気後れしていると。
「当然だろ?」
揺るぎない自信をみなぎらせ、薫さんは力強く言った。
「薫くんってば、パーティーでは照れちゃってなかなか私に一華さんを紹介してくれなかったよね」
次第に潤んでくる視界の中で、ブーケが滲んで見える。
「彩月は家族みたいなものなんだから、好きな子紹介するのはそりゃ照れるだろ」
ふふっと穏やかに微笑んだ彩月さんは、緊張で強く握りすぎてかじかんだ私の掌を優しくほぐすように開き、ブーケを持たせた。
「なるべくなら一華の前ではカッコつけていたいけど」
ポロポロと堰を切ったように溢れ出し、頬を伝わる涙を指先で器用にすくい、私の泣き顔を至近距離で覗き込んだ薫さんは柔らかい表情で続けた。
「形振りなんて構ってられない。絶対に、手放したくないから」
彩月さんの前で抱きすくめられ、涙が弾けるくらい私は驚いた。
私が抱いているブーケごと守るように、すっぽりと包み込むような体勢だった。
恥ずかしくて、私は薫さんの胸に顔を埋める。
生成りのシャツに涙がしみてしまうけれど、帰ったら私が洗濯しようと思った。
私たちが同じ新しい匂いがするなんて、なんだか想像するだけで体がちょっと震え上がるくらいに、嬉しかった。