嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「す、すみません……」
肩をすぼめて横目でチラリと盗み見ると、薫さんは無表情で真横に結んだ口を開く。
「そんなに気になる? 長瀬のこと」
「……はい?」
「不愉快だな」
明らかに気色ばんだ薫さんは、真っ直ぐに前を見て続ける。
「明日、指輪を買いに行こう」
突拍子もないことを言って、ハンドルを掴んでいない方の手で私の片手を取る。
真横にも目が付いているんじゃないかと疑いたくなるほど速やかに、その位置は正確だった。
「指輪……?」
どうして長瀬さんの話からそうなったのか、飛躍しすぎて会話の速度についていけない私がぽかんとしていると、浮いた手に手際よくキスを落とす。
「君がほかの男の話をするなんて、不愉快だ」
どこか強迫めいた言い方に、私は息を飲んだ。
目線や声から醸し出される色気に、気圧されそうだったからだ。
「俺だけを見てればいいのに。俺だけのものだって、ここに早く印をつけたい」
指全体に吐息があたり、片手だけが尋常じゃないくらいに熱い。
背中がゾクッとした。
「……す、すみません。ただ、純粋にびっくりしたので……」
「俺の独占欲に驚いてる?」
僅かに笑いを帯びた砕けた口調で、薫さんは閉口する私に言った。
「俺も、自分の嫉妬深さに正直驚いてる」
その状態を面白がるような、不安に憂えるような、そのどちらとも取れる笑顔で一瞬だけ私と目を合わせた。
……私も、十分驚いている。
いろんなことを知って、新たな一面も見て。その度にすごく、嬉しいと感じる自分に。
いとおしいと感じて止まない自分に。
肩をすぼめて横目でチラリと盗み見ると、薫さんは無表情で真横に結んだ口を開く。
「そんなに気になる? 長瀬のこと」
「……はい?」
「不愉快だな」
明らかに気色ばんだ薫さんは、真っ直ぐに前を見て続ける。
「明日、指輪を買いに行こう」
突拍子もないことを言って、ハンドルを掴んでいない方の手で私の片手を取る。
真横にも目が付いているんじゃないかと疑いたくなるほど速やかに、その位置は正確だった。
「指輪……?」
どうして長瀬さんの話からそうなったのか、飛躍しすぎて会話の速度についていけない私がぽかんとしていると、浮いた手に手際よくキスを落とす。
「君がほかの男の話をするなんて、不愉快だ」
どこか強迫めいた言い方に、私は息を飲んだ。
目線や声から醸し出される色気に、気圧されそうだったからだ。
「俺だけを見てればいいのに。俺だけのものだって、ここに早く印をつけたい」
指全体に吐息があたり、片手だけが尋常じゃないくらいに熱い。
背中がゾクッとした。
「……す、すみません。ただ、純粋にびっくりしたので……」
「俺の独占欲に驚いてる?」
僅かに笑いを帯びた砕けた口調で、薫さんは閉口する私に言った。
「俺も、自分の嫉妬深さに正直驚いてる」
その状態を面白がるような、不安に憂えるような、そのどちらとも取れる笑顔で一瞬だけ私と目を合わせた。
……私も、十分驚いている。
いろんなことを知って、新たな一面も見て。その度にすごく、嬉しいと感じる自分に。
いとおしいと感じて止まない自分に。