嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「……ごめん、がっついて……」


ぶっきらぼうに言って前髪を軽く掻き上げてから、薫さんは私の胸に顔を埋める。


「一華が可愛すぎて、歯止めが効かなくなるんだ。前回も急ぎすぎて反省したのに」
「は、反省?」
「ほら、最初のときも盛りすぎただろ? これからはもっとゆっくり攻めようって自制してたんだけど」
「、あ……」


さっき、春日井ファームのログハウスでも言ってた。

周年記念パーティーのときに長瀬さんがスイートルームを取ることを拒んだのも。もしかして私のペースに合わせようとしてくれたの?


『社長は茅部さんが思ってる以上に、茅部さんのことを考えています』


長瀬さんは、気づいていたのかな。


「……やめる?」


ほとんど息みたいなか細い声で、薫さんが囁いた。


「俺は、できればこのまま、やめたくないけど……」


懇願するようなしおらしい声だった。
いつもはもっと、強くて高圧的で強引なのに……。

そんな緩急のある態度を見せられると、頷くという選択肢を忘れてしまう。


「……できれば、私もこのまま……」


勇気を振り絞っていうや否や、薫さんはスイッチが入ったように露わになった私の胸にキスを落とし舌を馳せた。

胸を掻き毟られるようなもどかしさは、次第に快楽に変わる。

力んでしまう太ももに、指先を行き来させる。
大切に扱うように、ゆっくりと。


「自制効かなくなった一華を、見てみたい」
「っ、」


もうその頃には愛撫の隙に衣類も下着も脱がされて、触れたことがない部分を指の腹で撫でられ、頭の中を湿気で曇ったみたいに真っ白にさせる私は体をよじらせることで精一杯。

少しでも力を抜くと、溺れてしまいそうな気がした。
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