嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「一華……。いい子だから、力抜いて?」


ふっと困ったように笑いながら言われ、私は観念したように息を吐く。
そうしたら、さっきまでの酸素不足を我慢していたような息苦しさから解放された。

その代わり、感じたことのない圧迫感に支配させる。


「……あっ!」
「キツい?」


初めてだから本当はキツいし、窮屈で痛かった。
私の中で擦れるたび、熱さが増していって身体中に刺激がほとばしる。


「あ、んっ」


私はしがみつくように、薫さんの背中に手を回した。


「もう止められる余裕ないな、俺」


熱っぽい吐息を滲ませて、薫さんの苦しげに呟く。
見上げたその表情の美しさに、私は狼狽する。


「一華、可愛い」


律動に時折ブレーキをかけながら、汗で額にくっつく私の前髪に優しく触れ、薫さんは口角をくいっと上げた。


「恥ずかしがり屋で、世界一可愛い」


はにかみながら甘い言葉を私に与える薫さんは、やっぱり余裕だと思う。


「愛してるよ、一華」


私を甘やかす手を緩めず、もっと湿らせるように、熱く紅潮するようにと煽る。


「もう、一生離さない」


これ以上ないくらい、幸せだと思った。

好きな人の睫毛の翳りを真下から見上げることや、乱れる息遣いに耳を澄ませること、切迫した加減で切なげに見つめられることが。


「私も、愛してます……」


うわ言のように、けれども精一杯発すると、私と顔を見合わせた薫さんは汗ばんだ表情を歪めた。

愛する人と結ばれることにこんなにたくさんの幸せを感じられて、溢れそうになる感情で胸がいっぱいになることだなんて、私は初めて知った。

出会った当初は戸惑ってばかりで、全然ロマンチックじゃなかったのに、不思議。
いつの間にこんなに好きになっていたんだろう? と、私は遠のく意識の中で思った。
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