嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
シャワー上がりの湿った肌に、髪の毛から水滴が滴っている。
上半身裸の姿で、首にかけたタオルで髪の毛をぞんざいに拭いている薫さんを、口をぽかんと開けた間抜けな顔で私は見つめた。


「よ、夜這いって……え! 本当に寝室を一緒にするんですか⁉︎」


甲高い声で言った私の手首をグイッと引っ張る。
薫さんとの距離が一気に縮まり、ボディーソープの香りがふんわりと鼻を掠めた。


「ベッドはキングサイズだから、ふたりでも問題ないと思うよ」


そ、そういう問題じゃないんですけど……!

と私が心の中で真っ当な反論をしている間にも、体はどんどん引っ張られ、あれよあれよという間に薫さんの寝室に持ってかれる。

普段の細身のスーツ姿では気づかない、適度に筋肉がついた意外にもがっしりとした上半身はどうやら見せかけではないらしい。パワーがある。

……なんて、今は均整のとれた素晴らしい裸体に感心している場合ではなく!


「あ、あのっ、跡継ぎに関する契約については、知らないで合意してしまったのでもし可能なら、そこをなんとか……」


慌ててまくし立てる私の目に入る景色が塞がれ、大画面に薫さんのドアップが映し出される。


「今更なに言ってんの?」


低く響く声には、挑発するような艶っぽい笑いが含まれていて。


「結婚するって、こういうことだよ?」


とすん、と背中が弾む感触がした。
薫さんの背後には、真っ白の天井ととてもシンプルなデザインの電灯が見える。

えっと、なにそれ……どういうこと?

結婚するって……ベッドに組み敷くってこと⁉︎
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