嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「っえぇ‼︎」


一瞬、どうしてこういう体勢になったのか、さっきまで立っていた私がなぜ、薫さんの下敷きになっているのか、皆目見当もつかなかった。

手品でも使ったんじゃないかって、だってあまりに周到すぎて。
何度もこういう経験がないと、こんな技使えないと思う。

あれ?
でも、以前たしか……。


「か、薫さんって、女性に興味ないんじゃ……?」


この状況に驚いて声を上ずらせる私を面白がるような目で見下ろしている薫さんは、上乗りに跨がったまま、一瞬だけ殊勝な顔になった。そして。


「ああ。今は、とは言ったね」


顎を引き、片眉をピクリと釣り上げる。


「でも俺だって健全な普通の男だから、こうやって柔らかい肌に触れたりしたら、抑えられなくなる」


大きな手のひらが、私のパジャマの裾から侵入してくる。

お腹に優しく手を馳せる。
まさぐるような感触がくすぐったくて、もどかしくてつい声が出る。


「あっ」


恥ずかしくて、私は出来る限り顔を背ける。顎を引き、両目をギュッと閉じた。


「一華」


私の強張る気持ちを緩和させるように、薫さんは私の目を見て名前を囁くと、色っぽく唇を開けてキスをした。


「んっ……」


舌が濃厚に絡んだり、ちゅっとリップ音を鳴らして啄んだり、緩急のある口付けに頭が真っ白になる。

どうしていいかわからずにただ、貼り付けられたベッドの上で、スプリングが軋む音や、薫さんのありとあらゆる部分の次の動きにビクビクするだけ。

その間も、手の動きは緩めない。
腹部から胸の膨らみに移動し、優しい加減で揉みしだく。


「ふ……っ」


唇が剥がれたとき、やっと息が吸えた。
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