嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「いえいえ、私が余計なことをしたせいで怒らせてしまいまして。あの一件で薫社長は女には興味ないのかと思ってしまいましたよ」
「ははっ、弟は一途なんで」
木塚所長は額に滲む汗をハンカチで拭いた。
「ところで、うちの研究所と共同開発で話を進めていただけるものとばかり思っていた新商品の件、春日井ファームと話し合いを進めてるそうですね」
「春日井ファーム?」
「はい、化学物質を使わない植物由来の成分のみを使った天然香料のアロマ柔軟剤の開発に力を注いでるそうで、春日井ファームで有機栽培して天然のエッセンシャルオイルを作らせ、いずれ業務提携してすべて自社栽培する見込みだそうです」
「……なるほど」
深々と何度も礼をして木塚所長がその場を去ってからも、芳樹社長は顎に手をあてなにかを考えるように視線を周囲に漂わせていた。
私はこっそりとその目線をたどる。
すると、人混みの向こうに、薫さんが談笑してる姿が見えた。
リビングにいるときのような、とてもリラックスした表情で。
誰と話してるんだろう……?
仕事の話じゃなさそうだ。
気になって背伸びする。
高いヒールでの爪先立ちのため、よろよろと頼りない動きの私に気づいたのか、芳樹社長が言った。
「薫と話してる子、彩月だよ。春日井ファームの春日井彩月(かすがいさつき)」
春日井? ってさっき、木塚所長が話してた……?
「春日井ファームの近くにうちの別荘があってね、子どもの頃からよく一緒に遊んでたんだ。まあ、所謂幼なじみだよ」
そこでようやく視界を遮っていた招待客が移動して、クリアになる。
薫さんと会話している相手、春日井彩月さんもまた、満面の笑顔だった。
「ははっ、弟は一途なんで」
木塚所長は額に滲む汗をハンカチで拭いた。
「ところで、うちの研究所と共同開発で話を進めていただけるものとばかり思っていた新商品の件、春日井ファームと話し合いを進めてるそうですね」
「春日井ファーム?」
「はい、化学物質を使わない植物由来の成分のみを使った天然香料のアロマ柔軟剤の開発に力を注いでるそうで、春日井ファームで有機栽培して天然のエッセンシャルオイルを作らせ、いずれ業務提携してすべて自社栽培する見込みだそうです」
「……なるほど」
深々と何度も礼をして木塚所長がその場を去ってからも、芳樹社長は顎に手をあてなにかを考えるように視線を周囲に漂わせていた。
私はこっそりとその目線をたどる。
すると、人混みの向こうに、薫さんが談笑してる姿が見えた。
リビングにいるときのような、とてもリラックスした表情で。
誰と話してるんだろう……?
仕事の話じゃなさそうだ。
気になって背伸びする。
高いヒールでの爪先立ちのため、よろよろと頼りない動きの私に気づいたのか、芳樹社長が言った。
「薫と話してる子、彩月だよ。春日井ファームの春日井彩月(かすがいさつき)」
春日井? ってさっき、木塚所長が話してた……?
「春日井ファームの近くにうちの別荘があってね、子どもの頃からよく一緒に遊んでたんだ。まあ、所謂幼なじみだよ」
そこでようやく視界を遮っていた招待客が移動して、クリアになる。
薫さんと会話している相手、春日井彩月さんもまた、満面の笑顔だった。