篠田くんの取扱説明書



ヤンキーとケンカして付いた傷なんだよ。



こんなの、篠田くんからしたら情けないって思うに決まってる。




「久我」



「は、はい…?」



「……自分の体は、大事にしろよ」




風邪をひかないように心配してくれてるのか、



今度は乱暴ではなく、優しく頭を撫でてくれる。



そして、撫でる手が止まって、離れたと思った瞬間。



篠田くんが、ぎゅっと私の体を抱き寄せた。




「え…っ!?」




驚いたのもつかの間、



子どもをあやすように背中をポンポンと叩くと、その温もりはすぐに離れた。





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