篠田くんの取扱説明書
だいたい拭いたら、今度は毛先じゃなくて頭にタオルを乗せて、わしゃわしゃと髪を乱した。
「し、篠田くん…!」
「なんだよ。
三つ編みじゃねーからちょっとくらい乱しても平気だろ。
こっちのが早く乾くだろうし」
「そうなんだけど…!」
篠田くんの指が額にあたって、少しヒリヒリする。
思わず自分の額に手が伸びると、
篠田くんが手を止めた。
「悪い、痛かったか?」
「……うん。
あ、でも、篠田くんが悪いわけじゃないから…
……っ!?」
私の手が額に届く前に、
篠田くんの手が私の前髪を避けて、私の額にあるものを見て目を見開く。
「久我…その傷って…」
「……これは!昔からなので!!
今怪我したとかじゃないので!!」
慌てて額に手をあて、傷を隠す。
あぁ…もう。これは誰にも見せたくなかった。