篠田くんの取扱説明書
「…わりぃ」
「いや…それは全然いいんだけど、
嫌な夢でも見てた?」
「……嫌ではない」
今のは。
女の子が助けてくれた、あの日の記憶だった。
「……懐かしい、夢を見た」
「そっか。
篠田くん、いつもここで寝てる時よりも、少し苦しそうにしてたから心配しちゃった」
「……いつも?」
おかしいな。
俺が視聴覚室に入り浸っていることを知ってるのは、大雅くんと秦太と百華だけのはず…。
もし知っていたとしても、なんで寝てることまで知っている?
「いつもって言っても、2回だけなんだけど…!」
「…は?2回?」
……ちょっと待て。
俺はここで寝ているところを、2回も久我に見られているのか?
……全く、知らなかったんだが。