篠田くんの取扱説明書
『あの』
────……え?
『大丈夫ですか?』
────大丈夫だよ。
『あ、怪我してる…。
絆創膏…』
────……あぁ…ありがとう。
『……』
────どうしたの?
『あれ、ごめんなさい…
上手く貼れない…。
これごとあげますね…!』
女の子の声が、遠ざかる。
視界が、暗くなっていく。
これは…この、言葉は…!
「待って…!!」
目が覚めて、視界に色が戻ったのと同時に、
俺の手は、女の子の手を掴んでいた。
「……篠田くん?」
「……え?」
目の前には、きょとんとした顔の久我。
……俺、夢の中で女の子を引き止めようとして…
それで…現実の方で久我の手を掴んでしまっていたらしい。
