篠田くんの取扱説明書
「……仁、
それ、わざと?」
「……なにが?」
「ふーん…無自覚か」
先輩の顔は全然見えないけど、先輩の声がなんだか楽しそうに聞こえる。
そんなことより、私はこのままここにいていいのか?
篠田くんの後ろにいることが怖くて、ちょっとずつ距離をとる。
すると立花先輩が「じゃあな」と言うのが聞こえた。
……じゃあな!?
2人の方を見ると、もう会話を終えていて。
先輩がチラッとこっちを覗いて私に手を振ると、最後に親指をたててニッと笑ってから、廊下を歩いていった。
……それは、どういう笑いなの?
ん?と首を傾げると、
篠田くんが後ろに振り返った。