アナタと、キスと、銃声と。
「梨瑚さんは、明日には退院して大丈夫ですよ」
わたしを担当してくれた女性のお医者さん。
隣でお父さんが安堵の表情をしているのがわかった。
また頭の抜糸には来てくださいって言われたけれど、脳に異常は見られないと言うとこで退院が認められた。
明日で退院…。
じゃあ、学校に行けるんだ。
よかった、と思うのと同時に寂しさも襲ってくる。
翔平ちゃんの傍にいれない。
様態が安定した翔平ちゃんは集中治療室を出て、1人部屋の一般病棟へと移った。
朝も昼も夜も関係なく、翔平ちゃんを見れなくなるのは寂しい。
それに、翔平ちゃんが目を覚ました時に1番最初に傍にいたい。
「あの…」
「うん?どうしたの?」
「今日、翔平ちゃんの病室で寝てもいいですか?」
「…梨瑚」
お父さんが迷惑をかけるな、というような顔をして名前を呼ぶ。