アナタと、キスと、銃声と。
泣いている翔平ちゃんを見て、抱き締めてくれて夢じゃないってわかった。
一緒に泣いた。
顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いた。
わたしが、翔平ちゃんが泣いているのを初めて見た瞬間だった。
「なんか欲しいものとかない?」
「いえ、特にありません」
「ご飯は?ちゃんと食べてる?」
「ちゃんと食べてます」
「早く、うち帰ってきて」
わたしの心配の言葉をうんうんって、聞く。
翔平ちゃんと会話出来てる。
翔平ちゃんの声聞けてる。
たったそれだけの事だけど、つい最近までそれが当たり前じゃなかった。
この瞬間、瞬間。
大切にしないとね。
その後も他愛のない話をして。
すっかり暗くなった時に、扉がノックされた。