アナタと、キスと、銃声と。

でもわたしにとっては。


待って待って待ち焦がれた空気。


体が勝手に動き出す。






「白鷺!!」






国木田先生の呼ぶ声と共に、勢いよく立ち上がったのか座っていた椅子が倒れる音がした。


そんなのどうでもいい。


目に飛び込んできた、黒い影。


体で感じられる異様な、重たい、怖い空気。


早く。


早く、傍に行きたい。






「お嬢…!」






わたしを見つけて、こっちを向く顔。


その顔は、焦りで汗がじんわり滲んでいた。


…わたしを探してくれてたんだ。


そう思うだけで、嬉しくて、胸が苦しい。






「翔平ちゃん…っ!!」






翔平ちゃんの胸に飛び込む。


呼吸をすると胸いっぱいに翔平ちゃんの匂いが広がる。


……生きててくれた。


それだけで泣けてくる。






「なかなか来られませんでしたので、心配で」


「心配してるのはこっちよ!!!」






顔を上げて翔平ちゃんを見上げる。


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