アナタと、キスと、銃声と。
はっとした。
翔平ちゃんの頭に包帯が巻かれていたから。
黒髪から見える白い包帯が目立つ。
何があったの?
誰に聞いても、濁して正確に教えてくれたためしがない。
だから聞きたいのを抑えてる。
「ご心配おかけして…もう大丈夫ですよ」
「もう、どこにも行かない?」
そう聞くと。
悲しく微笑む。
わたしが好きって言った時と同じ。
否定も肯定もしない。
「…さあ、帰りましょうか」
「うん」
「お騒がせしました」
職員室にいた先生たちに向かって、深々と頭を下げたあとわたしは翔平ちゃんと学校を出た。
廊下には部活動で残っていた学生たちが集まっていた。
やっぱりどこいっても翔平ちゃんはモテるんだなあ…。
まあ、翔平ちゃんは渡さないけど!
長い髪の毛をひるがえしながら、わたしは堂々と廊下の真ん中を歩いた。