アナタと、キスと、銃声と。

「お靴も履いてませんし、お父さんに見つかったら怒られますよ」


「やーーだ!!」






わたしよりずっとずっと背が高くて、かっこよくて。


わたしは小さい頃から翔平(ショウヘイ)ちゃんが好きだった。


好きだから、かまって欲しくていつも困らせるようなことをしてはお説教されて。






「あ、お嬢!!靴下が汚れてしまいますから走り回ったらいけません!!」


「わあああい!」






困った顔をしながらわたしを追いかける翔平ちゃん。


きゃっきゃっと逃げるわたし。


それを見て、笑うみんな。


わたしの世界は優しくて温かい。






「はい、捕まえました」






足が地面から離れる。


翔平ちゃんにひょいっと抱きかかえられた。






「いひひー」


「どうしてじっとしていてくれないんですか」


「しょーへーちゃんとあそぶー!」


「遊ぶのは後ですよ。先に、髪の毛終わらせましょうね」


「やーだ!あそぶー!!」






毎日毎日、こんな感じ。


わたしは翔平ちゃんに構ってもらえるのが嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。


< 2 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop