死者の舞踏〜最期のメッセージ〜
「お前こそ研究所のバイトだろ?」

そんなことを言いながら、二人は藍のところへやって来る。大河は横になっている藍を見つめ、「霧島さん、大丈夫ですか?」と心配げに言った。

「ええ。ただの風邪よ」

「ずっと死因について調べていて、ろくに休んでいなかったがな。俺が来た時に倒れてしまったんだ。お姫様抱っこで布団に連れて行ったぞ」

「お、お姫様抱っこ!?」

誇らしげに言う如月刑事に、大河が顔を赤くする。そして、如月刑事と藍の顔を交互に見つめた。

「大丈夫よ。別に恋人というわけではないわ」

愛のその一言で、大河は「そうですよね!」と笑顔になり、如月刑事は落ち込んだ。

「霧島さん、俺これ熱を下げられるように持って来ました」

大河がそう言い、優しい手つきで藍のおでこに熱さまシートを貼る。藍は久々に誰かに看病してもらうことにくすぐったさを感じながら横になっていた。

熱を出した時には、目を閉じて眠ることが一番いい。しかしなかなか藍は寝付けない。如月刑事と大河はまだそばにいる。藍は口を開いた。
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